肉眼で確認出来ないピンフォールの正体

肉眼で確認出来ないピンフォールといいます小さな穴の正体を考えます

はじめに

今回の記事では主に板金屋根で遭遇しますピンフォールといいます肉眼では中々視認できない小さな穴の正体を紐解いてみたいと思います。

鬼首の銅線が切れた写真
鬼首の銅線が切れてしまった写真

こちらの写真は鬼瓦を緊結する『銅線の腐食』の写真となります。鬼瓦の滑落を招く銅線の腐食は主に棟木に打ち込む方の5寸鉄釘と銅との電蝕で引きおこるケースが殆どですがまれに鬼瓦方向の銅線の腐食も垣間見ます。(体感では100件に2~3件位の頻度)

この現象はどこの屋根瓦にも発生している訳ではありませんので、あくまで仮説の域を脱しませんが、恐らくは鬼瓦廻りに巻いた漆喰の水溶液、アルカリ性の強い石灰の水溶液が吊り線の腐食を進行させていたと考えられます。この場合アルカリ性の強い水溶液が上手く吊り線に関与した場合のみ腐食の進行が見られますから、これから外れた水流の場合は腐食が起こらないと仮定できます。

 

ここから派生する考察は銅谷にあります肉眼では確認出来ないピンフォールの発生にも繋げる事が出来ます。

銅製樋の穴
銅製の谷の摩耗やピンフォール
ピンフォールの正体

写真にございます明らかに目視確認出来る摩耗穴と目視出来ないピンフォールが銅谷の場合混在しております。写真の施工状況は谷漆喰を塗っており目視出来ないピンフォールで雨漏りしている銅谷は谷漆喰のアルカリ性水溶液による腐食が関与しているとも考えられます。こちらは構造上ピンフォールが出来ても雨水が関与しなければ直接的な雨漏りは引きおこりませんが雨水が関与した場合は見える穴だけ塞いでも雨漏りは改善に至らない過去の前例も御座いました。

こちらが目視確認出来ない銅谷のピンフォールの正体である可能性が高いのですが2016年以降考察を重ねていました結果、アルカリ水溶液に加えまして銅板や銅線自体に含まれています異種金属との電蝕も可能性があると加筆させて頂きたいと思います。

 

金属建材へのピンフォール対策

結果として、考えられる施工上の留意点は
①生板の谷(保護塗膜の無い金属)に石灰は出来るだけ置かない
②鬼首防水はシールが必須
上屋根漆喰工事のみのメンテナンスを施す場合等となり

③棟の積み直しや谷の交換時には現在アルカリ性の南蛮漆喰を使用致しますので、銅板や銅線を使用しない。
以上の事が主な注意点と考えらます。

 ありがとうございました!!!