屋根漆喰工事の修理・補修・塗りすぎ警報・注意報
こちらの記事は屋根漆喰工事を御依頼する際の注意事項の記事となります。私は仕事上、近畿圏を走り回って観てきましたが大阪が一番屋根漆喰工事の施工不良が多く感じましたのでこの記事を屋根漆喰工事を施工する際の参考にお役立て下さい。
まずはじめに、屋根の漆喰の塗りすぎは何故多く絶えないのでしょうか?
その原因の一つとして屋根漆喰が屋根の上で果たしている役割を理解していない方が非常に多いという事と、理解していたとしてもただ見た目だけの改善なら仕上げ易く工期の短縮を図る事が出来るからです。(実際は故意で施工する場合と不可抗力で施工する場合が御座います。)
棟の熨斗瓦垂れ付近まで漆喰をたっぷり塗りますと塗りこぼしが殆ど出ないために適正漆喰工事の2倍以上のスピードで仕上がります。
一方正規の調整を施しながら屋根漆喰工事を施工致しますと非常に手間がかかり塗りこぼしていないかその都度熨斗瓦の裏側を覗きこまないといけません。
屋根漆喰工事の修理・補修・塗りすぎ警報・注意報
大気中や雨中に混じる埃の付着や苔・黒カビで覆われた三日月の部分のことを面土漆喰と呼びまして瓦屋根の場合はこの部位を漆喰や面戸瓦などで仕上げて行きます。汚れている面土漆喰の部分は雨を綺麗に捌けず継続的に水分が廻っている証拠で御座います。
実際の施工手順は?
先ずはこの出過ぎた漆喰の撤去と一番この工事で大切な漆喰を撤去した後棟の土を削る作業が必要不可欠です。古い漆喰を撤去してもそのまま何の調整もせずまた同じように塗りますと、また同じ箇所特に熨斗垂れからや台熨斗合端口から水が廻り切っている部位の改善は見込めないからです。
こちらの動画は実際に私が古い漆喰を撤去している作業動画となります。
こちらの動画の様に漆喰だけでなく棟土も削って参ります
たまに施主様は沢山塗っていた方が強いと勘違いされている方がおられますが屋根は先ず水や埃との干渉を出来るだけ切る事が大切ですのでむやみやたらに塗り込んだ漆喰は改善どころか改悪になってしまう場合が御座います。
次に何故?この作業が必要なのか御説明させていただきますね。
この様な日本瓦の棟は熨斗瓦と言われる長方形の瓦を何段かに積み上げて作られています。この写真では上部にあたります。
ですので一段目の熨斗瓦(最初に積むのしかわら)の継ぎ目の箇所が実際に雨の落ちる箇所ですからその上に積まれた二段目の熨斗瓦より絶対に中に塗っていなければ常に雨の侵入を許す事となり著しく瓦自体や棟の寿命を損傷してしまいます。
この調整を私共は熨斗瓦一段目チリ奥調整と呼んでいますがこれを厳守せずに1段目の熨斗瓦の水の落ち口の直下に漆喰を塗り上げた場合は必ず雨水が廻りまして下記の様な弊害が発生致します。
①雨漏りの原因②凍み割れの原因
凍て割れ瓦・凍み割れ瓦の考察記事はこちらから閲覧頂けます
③屋根構造材腐食
④鬼銅線劣化促進
⑤棟熨斗瓦の蛇行水平化(耐震性劣化)
⑥埃・虫・苔・草の付着繁殖
列挙いたしますと6つの弊害が発生致します。
また上記写真にあります赤線の部分、水の落口にシリコンを塗りましても熨斗瓦の勾配(角度)によって水量はちがいますが青線部分のちょうど裏側に雨水が走りやはり漆喰の塗りすぎは上記の弊害を招きます。
それだけ棟瓦の漆喰は繊細かつ慎重に施工しませんと台土を削って掃除して何も塗らない屋根の方がよっぽど高寿命を維持できます調整をシッカリ施し塗った漆喰はたとえ鏝後だらけの漆喰でも綺麗に仕上げた出過ぎた漆喰より屋根の為には良いという事なんですね
塗りすぎた漆喰が原因で凍て割れてしまった瓦
この部位からまだ雨漏りはしていませんでしたが地域性・日照時間の差異で出来た凍て割れではなく漆喰の塗りすぎで出来てしまった凍て割れです。(シリコンコーキングの施工不備も合算されています)漆喰の塗りすぎによって最後まで瓦の寿命をまっとう出来ずに常に棟近辺が水分を含んだ状態ですということになります。
適正屋根漆喰工事と不適正屋根漆喰工事の事例写真と動画
次に適正屋根漆喰工事と不適正屋根漆喰工事を写真と動画にてご説明させていただきます。二枚の写真を見比べて頂けますと一目瞭然ではございますが下の写真の瓦屋根の方が雨の干渉を受け難くなっておりますので高耐久で雨漏りを引き起こす可能性が低い施工となります。
誤解していただきたくない点は多く分厚く塗れば面土漆喰の場合は弱くなってしまうという事で御座います。
さらに屋根漆喰について詳しく御知りになりたい方はこちらからも御覧頂けます。
まとめ
如何でしたでしょうか
棟の一次メンテナンスは非常に重要となります。言わば瓦屋根の命と言っても過言ではありません。ですので屋根漆喰工事は値段だけで決めるのではなく最低限上記の知識と技術を持った実際に現場に従事する職人さんに施工してもらってください。
下記は屋根漆喰工事の不備から派生する沢山の御相談を頂いてきました診断ケースとなります。
無考察漆喰工事をされる→棟から雨漏りする→葺き替えを勧められる→良く解らないけど葺き替えるこうならない様にご注意ください。最悪雨漏り修理に対してなら棟瓦の積直し工事や板金カバー工事で大きな出費を抑える事藻出来ますので。
関連記事はこちらからご覧頂けます。
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ありがとうございました!
こちらは私共の動画サイトのリンクとなります。
こちらの記事は屋根修理や雨漏り修理に必要な知識を7つに纏めさせて頂きました。お時間がございましたら是非ご活用ください!
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