瓦は、何故ずれ(ズレ)るのか?
瓦は何故ズレるのか?
今回の記事では瓦は何故ズレるのでしょう。様々な要因に焦点をあてて考察したものを記事にさせていただきました。ありがとうございます。屋根の構造は土葺きの瓦屋根です昔の土葺き工法の瓦が何故ズレるのでしょう?
土葺きの瓦屋根におけます使用する土の性質・粘土の多さや藁の混入具合により多少の時間軸の差は御座いますが一様に言えます事は冬場発生致します内部結露による土と瓦の剥離が瓦ズレ発生の初期段階でもあります。また瓦の裏側に施設していますズレを防止するための爪の有無や爪が付いていても葺き土に絡んでいるかどうか?また、葺き土を野地に止どめています土止め桟木のピッチ(幅)や高さ(嵩)も瓦ズレに大きく関わっております。
瓦の裏側に付着致します内部結露の水分が瓦と土との密着を年数に応じて低下させて行きお住まいの地域によって誤差は御座いますが、およそ15年から20年の間にこの内部結露による土と瓦の剥離が完成致します。
またこの剥離は土と瓦のみならず野地板上のルーフィングと土との剥離も意味致します。加えまして葺き土があまりにも少なければ結露や塩害や風害にも耐力を損なわれまして葺き土自体が横に広がりつつ崩れますので分解後は不陸・野地板含め屋根が凸凹する現象に繋がってまいります。
次にこの剥離が進行致しました場合、瓦の重量はその流れの長さ(縦の瓦がどれだけの枚数葺かれているのか)また急勾配の屋根の影響、ここでは5寸勾配以上の屋根瓦の重量は下記写真の様に左上から右下に総重量が一気に圧し掛かって参ります。
逆に屋根勾配が緩くなりますと、たとえ瓦と土が剥離していましてもその影響は軽微で御座います。また軒鼻が化粧仕上げなのか?モルタル仕上げなのか?によってもズレに対する強度は違ってきましてポイントは雀口の強度と密着で御座いますからモルタル仕上げの方がズレにはより屈強であります。(雀口モルタルが竣工から剥離していない場合ですね)
次に下がり出した瓦の総重量を支えるのは、瓦の右端の大袖瓦と一番先端の丸い飾りのつきました万十軒先瓦で御座います。この両者の瓦の施工が屋根勾配を配慮しながらも甘い施工となりますと天災を待たずして軽微な振動やたまにやって来る台風による風の吹きあがりにて瓦ずれが徐々に引き起こされてしまいます。
また昔の土葺き工法の標準的な施工では18ないし20番の銅線一本釣りにての施工が殆どですので銅線の金属疲労と熱膨張による伸びが発生し大袖瓦の振れまた屋根瓦全体がずれていくので御座います。加えまして軒鼻瓦を支えます構造材木(銅線を通している構造材木)五分角、竹桟、胴縁によっても強度の差は発生致します。
土葺きの屋根の欠点(主に重さ)に注視しがちで御座いますが土葺き屋根には特筆すべき良い点も御座います。夏場の猛暑の折、熱を小屋裏に伝えにくくする断熱性、野地板を痛めにくくする通気性また、冬場の内部結露を半分葺き土で吸収し剥離を生み出してでも瓦裏面からの凍て・凍みを生み出さない瓦自身を守る、耐久性、埃堆積による毛細管雨漏りもこの葺き土にて抑止するなどの役割を担っているので御座います。上記の考察を踏まえて瓦屋根の雨漏りなど長きに渡り適正診断をさせて頂いております。
ありがとうございました!!!
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