凍て割れ瓦・凍み割れ瓦って?
ありがとうございます。今回の記事では瓦屋根に発生します『冷害』凍て割れや凍み割れに付きましてご説明させて頂こうと思います。
大阪平野(ここではあくまで平野部)ではこの凍てや凍みは殆どありません。現に自宅のいぶし瓦は、ゆうに80年を超えております。未だに防水機能は健在でバリバリで御座いますが・・・少し離れた山間部、猪名川や茨木→ときわ台方面に赴きますと25~30年位の淡路産釉薬瓦(緑色やネズミ色、青色、エンジ色、茶色の瓦)はこの凍み割れ・凍て割れが発生している屋根を拝見いたします。
この違いを考えます
雨の降った後、この釉薬瓦を瓦上げした昔の瓦職人さんはお分かりでしょうが、重さが、体感1.5倍くらいになり、釉薬のない瓦の裏側から良く水を吸ったのを経験されたことと思います。今はビニール梱包で届きますので重さの違いの体感は出来ないかもしれません。
それで肝心なのはこの瓦の裏側でありまして降雪地域、豪雪地域においては雪が結構日中残りますので瓦の表面温度と家の中の温度との差が生まれて必ず結露水分を生成致します。発生した結露水分を釉薬瓦の裏には防水機能はありませんから一日かけてゆっくり水分を吸い込みます。そして夜外気が下がるのと同時に吸い込んだ水分は氷に姿を変え瓦の中に留まり、良く晴れた内気外気の差がない時にはその姿を液体に変えます。瓦内部に鉄分が多い瓦ですと酸化と膨張が起こりそうして瓦の内側から徐々に分解が始まり凍て割れ・凍み割れ瓦に瓦自体を変貌させてしまうのですね。
証拠としまして凍て・凍み割れを起こしている瓦は表面には殆ど損傷はなく水のよく貯まる場所である桟瓦の裏側の谷部に集中致します。表面の凍て割れなどは瓦表面の釉薬鉛の酸化膨張が原因だと思いますが鉛の酸化は鉄に比べて遅いのが特徴です。釉薬瓦の貫入(ヒビの様に見える物)が鉛酸化と係っているかもしれません。
同じ地域でもいぶし瓦(日本瓦)はまだ瓦の裏側まで燻していますので凍て・凍みにはまだ屈強でございます。こちらは、両方使っていましたお施主様の屋根で確認させていただきました。瓦の裏側まで防水機能が付いていますので結露も裏側を通って次の瓦に流してしまいます。ですのでこの裏側の燻しの足りなかった瓦だけが凍み・凍てが発生するのであって屋根全体が凍み割れることは殆ど見たことが御座いません。その際には凍み、凍てが発生した部位だけ差し替えれば、何の問題もありません。
また日照時間の差は屋根によって様々ですので水分が蒸発しにくい日陰部位は良く凍み・凍てを生み出します。棟瓦もこの日照時間の被害を受けます。凍て・凍みの速度は家の建ち方にも左右されるということですね。大阪平野部では釉薬瓦でも燻し瓦でもそんなに耐久年数に差は出ませんがそれ以外の山間部では結果は明らかとなります。
参考までに金沢まで足を運んだ旅行において豪雪地域に等しい能登半島では、燻し瓦よりも、ドブ付け釉薬瓦が、社寺、仏閣、住宅にも大変多く使われておりました。金沢当、能登半島地域では、燻し瓦でも追いつかないほどの結露による凍み割れが、発生すると判断致しました。ドブ付けといいますのは結露の発生する瓦裏側まで釉薬を塗っている瓦のことを呼びまして素焼きの部位が無いということです。昔の明石塩焼き瓦などこれにて能登半島辺りの瓦は凍み割れ・凍て割れに対応しているものとおもわれます。
凍み割れ・凍て割れに強い建材は次の通りとなります。ドブ付け釉薬←日本燻し瓦←燻し平板瓦(この3者は互角)←釉薬和瓦←釉薬平板(水はけで一歩負けます)←平板化粧スレート結露で吸った水分←その他実績を残せないまま販売中止となりました屋根材という順序になります。
ありがとうございました!!!
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